ワースト・ケース解析の例−簡単な解説

サンプル回路図圧縮ファイル : Worst_Case_of_BPF.zip
(9/29/2007改−精度を上げるためAC解析ディケードあたりポイント数30->100に変更)

圧縮されているファイルを解凍し,Worst_Case_of_BPF.sch,Worst_Case_of_BPF.MISの3つのファイルを,同一のフォルダに入れて下さい.
(3/11/2012改訂−TopSpice仕様変更により*.SIMファイル削除.出力ゲイン最悪値と中心周波数最悪値を同一グラフの上下に表示するように変更.)

●出力ゲインのバラツキ確認

(1)シミュレーションを実行します.(初期状態でEnable plot setup #1のチェック・ボックスのみチェックされているとき)
(2)繰り返しが32回行われて,出力ゲインVDB(out)が表示されます.バラツキの程度を確認し,TopViewを閉じます.

●出力ゲイン最悪値とそのときの素子条件の予測

(3)メニューバーより,Simulation->Setupとクリックし,一番下のAuto Plotボタンを押します.
(4)一番上のチェック・ボックスEnable plot setup #1のチェックを外し,右側のNextボタンを押します.
  注意)本シミュレーションでは,表示が別々である必要があります.必ず#1,#2のいずれか一つのみにチェックして下さい.
(5)Enable plot setup #2にチェックを入れ,OKボタンを押してダイアログを閉じます.
(6)同様にSimulation SetupのダイアログもOKボタンを押して閉じます.
(7)シミュレーションを実行します.
(8)Select Autoplot Analysis/Data Sourceダイアログでは、OTHER Dataを選びます.
(9)繰り返しが32回行われて,横軸:実行回数,上段縦軸:出力ゲインのピーク値,下段縦軸:中心周波数が表示されます.
(10)TopView画面にてスペース・キーを押してカーソルを表示させます.上段のグラフ上にカーソルがあることを確認します.
(11)メニューバーよりCurcors->Position->Minimumを選択し,OKを押します.
(12)RUN#=13,VDBPEAK=7.977・・dBを読みとります.バラツキの条件が13番目のときにVDBpeakが最悪値をとりました.
   また,グラフからRUN#=15,VDBPEAK=7.994・・dBを読みとります.バラツキの条件が15番目のときもVDBpeakが低い値をとりました.
(13)TopView画面のメニューバーより,View->Browse Output Fileとクリックすると,出力ファイルが表示されます.
(14)双眼鏡ボタンを押し,現れたダイアログ・ボックスで「WC#13」と入力します.「次を検索」ボタンを押すと,出力ファイルの中からバラツキ13番目の箇所を探し出します.同様にして15番目も探します.
(15)VDBpeakが最悪値7.977・・dB,7.994・・dBとなる素子バラツキの条件は,
  R1=-15%,R2=-15%,R3=15%,C1=15%,C2=-15% および
  R1=-15%,R2=15%,R3=15%,C1=15%,C2=-15%
と分かります.

●中心周波数の最悪値とそのときの素子条件の予測

(16)下段のグラフから,中心周波数が最大となる条件が2つ,最小となる条件が1つ確認できます.
(17)下矢印キーを押してカーソルを下段に移動させます.
(18)メニューバーよりCurcors->Position->Maximumを選択し,OKを押します.
(19)RUN#=1,FPEAK=1.380・・kHzを読みとります.同様にRUN#=5,FPEAK=1.380・・kHzを読みとります.バラツキの条件が1番目と5番目のときにFpeakが最大値をとりました.
(20)メニューバーよりCurcors->Position->Minimumを選択し,OKを押します.
(21)RUN#=32,FPEAK=758.・・Hzを読みとります.バラツキの条件が32番目のときにFpeakが最小値をとりました.
(22)TopView画面のメニューバーより,View->Browse Output Fileとクリックすると,出力ファイルが表示されます.
(23)双眼鏡ボタンを押し,現れたダイアログ・ボックスで「WC#1」と入力します.アンダーバーは半角スペースの意味です.「次を検索」ボタンを押すと,出力ファイルの中からバラツキ1番目の箇所を探し出します.
(24)同様にして,バラツキ5番目,32番目の箇所を探し出します.
(25)Fpeakが最悪値1.380・・kHzとなる素子バラツキの条件は,
  R1=-15%,R2=-15%,R3=-15%,C1=-15%,C2=-15%および
  R1=-15%,R2=-15%,R3=15%,C1=-15%,C2=-15%と分かります.
(26)また,Fpeakが最悪値758.・・Hzとなる素子バラツキの条件は,
  R1=15%,R2=15%,R3=15%,C1=15%,C2=15%と分かります.

●素子バラツキの設定について

回路図エディタのメニューバーより,Simulation->Open User SPICE Commands Fileをクリックして,Worst_Case_of_BPF.MISファイルを開きます.

.STAT R1 GAUSS 5% -3 +3
.STAT R2 GAUSS 5% -3 +3
.STAT R3 GAUSS 5% -3 +3
.STAT C2 GAUSS 5% -3 +3
.STAT C1 GAUSS 5% -3 +3

.STATコマンドが各回路素子のバラツキを設定しています.上限が+5%×3σ,下限が-5%×3σという意味です.
この場合ワースト・ケース解析では,分布のうち上限値+15%,下限値-15%だけが使われます.
モンテカルロ解析では,釣り鐘型のガウス分布が使われます.

●#MEASUREコマンドについて

Worst_Case_of_BPF.MISファイル内の

#MEASURE AC MAX VDBpeak YVAR=VDB(out)
#MEASURE AC XMAX Fpeak YVAR=VDB(out)

の部分で,VDB(out)のグラフからレベルのピーク値と,ピーク値のときのX値つまり周波数を抽出しています.これは,波形表示プログラムTopViewのコマンドです.

●ワースト・ケース解析の設定について

Simulation->Setupダイアログ・ボックスの右側Monte Carlo and Worst Caseボタンをクリックして設定します.
  Corners and nominal --->バラツキの条件値を上限,下限と公称値の組み合わせで行います.
  Corners only --->バラツキの条件値を上限,下限値の組み合わせだけで行います.
  No corners --->バラツキの条件値を上限,下限と公称値の組み合わせで行いますが,上限,下限値だけの組み合わせ
             は除かれます.
上記のサンプル回路でも条件を変えて行ってみて下さい.
それぞれ繰り返し回数は,ばらつく素子数が5個なので,3^5-1=242回,2^5=32回,242-32=210回となります.


 
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